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星五つが最高、星ひとつが最低。
さらにギルド員にもそれぞれ個人のランクとして星が与えられていて、それも危険度と同じく最高五つ、最低ひとつ。
目安としては、魔法の使えない平民のギルド員で、星ひとつ。ギルド登録したばかりである俺とルシフェルも星ひとつだ。
平民でもかなりのベテランになれば、星ふたつからみっつ与えられる。
学院を出た魔法使いならば、最低でも星ふたつくらい。貴族のギルド員は、星みっつが一番多いらしい。
星四つになると、国の重鎮だったり名門魔法使いの家系だったりと、かなりの実力者が揃う。
さらに星五つとなると、この国に五人しかいないそうだ。五人とも目立つのを嫌ってか正体を隠しているために詳しくはわからないが、その五人の実力は折り紙つき。
王国軍の下っ端をかき集めても、その五人には勝てるか勝てないか。
先の戦争もこの五人が頑張ったおかげで必要以上の血を流すことなく終結したのだと、カルマールの受付嬢は熱く話してくれた(レリーさんではない)。
残念ながら、俺にはその先の戦争が何の戦争なのかわからないんだけどな。
話が逸れてしまったが、とにかくギルドでは安全面を考え、ギルド員の持つランク以下の危険度の依頼しか受けられない、つまり実力と不相応な依頼は受けられないという仕組み。
そして、今回の依頼。
『危険度?』とは則ち、危険度がわからないのだ。
まぁ確かに、森の整備ってのはつまり調査も兼ねているんだろう。調査そのものが依頼なのに、森にどんな危険があるのかギルドも調査しかねるわけだ。
幸い『危険度?』は受注するギルド員のランクは問わないし、報酬もそれなりに高いので構わないのだが……。
「何が起こるかわからないっていうのは、何か面倒くさくはあるよな」
その依頼を受注し、学院への道を歩きながら俺がそうぼやけば、横を歩くルシフェルは「そう?」と笑った。
「俺は好きだけどな、そういうの。スリルあるっていうか。だって、選ぶルートによってバッドエンドかハッピーエンドか決まるって、まさに五十歩百歩!」
「何が?」
いや今更だけどさ、こいつってかなりの馬鹿だよな。五十歩百歩て。かすりもしてないぞ。
「あれ、違う? 五十歩百歩じゃない? んじゃ、えぇと……、馬耳東風?」
「お前は一体何を伝えたいんだ?」
もしかして、知ってる慣用句並べてるだけじゃないのか。
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