メーデー

2/2
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
青い空白い雲、といっても今の季節は夏でもないし、私が佇んでいるのは海辺でもなんでもない、冷たいコンクリートが寒いこの季節には辛い屋上だ。 いや、別に意味も無く佇んでるわけじゃなかった。ついさっきまで理由があったけれども、一言で理由が白紙になってしまった。 「何が、暗いよ……」 告白してふられた。青春を謳歌していれば良くある場面だろう。しかし、相手が悪かった。思い出しても腹が立つ―― 『お前、暗そうで気持ち悪そうだからパス』 なんて、腹立たしい言葉だろう。私のことを何にも知らないくせに、"暗そう"とか"気持ち悪い"だなんて、失礼だとは思わないんだろうか、あの男は。しまいめには、パスときた。一体何様のつもりだっていうんだ。お前は王様にでもなったつもりなのか、って言って殴ってやりたかったけど、意気地が無い私にそれが出来るわけも無く今屋上で風に当たっている。 別にあんな男の事なんか、どうでも良かったんだ。だから別に悲しくなんか無い。辛くなんか無い。なのになんで、鼻がつんっとするんだろう。目頭も熱い。息も上手く出来ない。 「――ッ!!」 嗚咽が漏れる。自分の事なのに、自分の事のはずなのに、なんで私の気持ちは醒めたように私を見ているんだろうか。分からない、けれども今は泣きたいんだから、泣けば良いんだろう。苦しい、寂しい、助けて欲しい。そんなドロドロしたもの自分の内側から流れ出してくるような気がした。 神様、神様。もし本当にいるならばこの哀れな私のメーデーを受け取って助けてください。メーデー、メーデー。応答願います。メーデー、メーデー――
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!