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1章、兼ねてからの思い
視界は良好だった。顔を覆い隠す紅い仮面。
遮光性の高いシートを視界を覆うように取り付けておいた。普通の人間なら視界が暗くてよく見えないんだろうなー、と思った。
怪人が目眩ましを使ってきた時用に、仕込んでおいたわけだ。
そして今回はそういうタイプの相手ではなさそうだと思った。
大木の幹の様な、異様に発達した茶褐色の二の腕。血走った眼。距離にして数メートルはあるのに聞こえる荒い鼻息。
明らかに思考が単純で好戦的な、Eランクの怪人の出で立ちをしている。
ただの人間にとっては脅威だが、私にとっては取るに足らない相手だ。
「我が名は身裂(みさき)。我等が仇敵ヒーローよ。この手で引き裂いてくれる!」
宣言とも演説とも言えない何かを語るみさきちゃん。筋骨隆々としている割に、名前可愛すぎるだろ。
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