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舞を終えると、北斗は訊いた。
「何故、泣いている?」
その顔に表情は浮かんでいないが、由良をひどく気遣っているのが分かる。
そう感じた由良は、それがどこか嬉しく思った。
「何故……でしょうか。きっと、巽様の舞をお手伝い出来た故でしょう」
それを聞いた北斗は、気遣いの気配を、僅かな苛立ちのそれに変える。
「巽、か。俺は北斗だ。由良、お前に頼んだのは、お前にとっては巽なのだな」
「え?」
言葉の意味が分からず、ただ北斗を見つめる由良。先ほど感じた北斗の苛立ちは、もう消えていた。
その代わり、今は何も伝わって来ない。
「いや、詮の無い事を言った。忘れてくれ」
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