序章

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初夏の草木が薫る季節。 那由他国では、新緑が野山をまぶしく彩っていた。 そんな風景の中、家路を辿る一人の少女があった。 女学校からの帰り道、久遠由良(クオン ユラ)は、いつも通る河辺の道に差し掛かる。 普段通りの帰り道。 そんな「いつも通り」を過去のものにする人物が、そこに居た。 彼は、優雅に舞っていた。 風に遊ばれる緑鮮やかな木の葉の中、彼は舞っていた。 それは、時を忘れるほどに夢幻の光景だった。
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