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驚き、慌てて頭を下げる由良。
そんな由良に、北斗は表情を動かさずに言う。
「巽と言っても、俺は二男坊だ。そう畏まらずとも良い」
そんな北斗の言葉に、目をぱちくりと瞬く由良。
自分を責めない北斗を意外に思ったのだ。
「二男でも、巽様でしょう? 私なんて、巽家からすれば傍流の傍流のそのまた傍流の家の娘ですよ?」
巽家といえば、強い権力を持つ奉楽士の中でも、その総てを束ねる頭領の家柄だ。
由良からすれば、雲上の人である。声を掛ける事すら無礼に思われかねない。
「それを承知しているのに声を掛けたか。お前は面白いな、由良。時に、神子であれば楽器を弾けるな? お前は何を弾く?」
「あ、鈴弓を少々……」
「鈴弓か。ならば、演奏を頼めるか? これから舞おうと思うのだ」
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