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※※※
「だ…れか……」
少女は砂風の流れる音に紛れてそんな声を聞いた。
慣れない砂漠による疲労で幻聴かと一瞬考えもしたが気になった少女は歩いていた向きを変えた。
砂に足を取られながら砂丘を歩いて行くと男の人が倒れていた。
驚きながらも素早く男の下に行き、首に手を当て、脈を確認する。
少し弱っているが確かな脈動を指に感じる
「……良かった!まだ、生きてる」と少女はため息を吐きながらこの男の人をどうするか考えた。
見たところ外傷は無いようだ。が、周りに男の持ち物がほとんど見当たらない。
「(こんな所を歩くには荷物が少なすぎるような……?)」
少女は疑問に思いながらも男の状態を簡単にではあるが確認していく。
男の状態と荷物の少なさを考えれば栄養不足による行き倒れの可能性が高いのだが、少女は男について何も知らない。
目を覚まし時、襲われる可能性だってあるのだ。
しかし、だからといって倒れている人を見なかった事にするなど少女にはできなかった。
「(近頃、嫌なウワサも聞くし、放って置くわけにはいかないよね)」
当然のことだがこの場で悠長に治療することはできない。
ここは他の地域と比べて安全な地域だが、無防備でも安全なんてことない砂漠のど真ん中である。
少女は、とにかく行動することに決めた
幸い近くに少女の住んでいる都市がある。
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