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先にも話したが、
スミコの両親はとても厳しい。
もし、普段の格好で実家に足を踏み入れようものなら、怒濤のごとく罵倒され、離婚させるぐらいのことは簡単にやってのけるのではないか…と思わせる程に。
そのお陰で、月末頭の上から足先まで一式、両親に会うためだけに、洋服その他諸々を買う羽目になってしまった…
普段ほとんど身の回りのものにお金をかけないし、主人もそこそこには稼いでくれているため、それぐらいはどうにかなった。
ただ、まだ一年だから問題無いものの、毎月別のものを用意しなければならないため、クローゼットがいつまでもつか…
あれは、結婚して二度目、スミコが一度目と同じ格好で実家に帰った次の日だった。
母親がひいきにしているあるブランドから大量の段ボールが‼
もちろん返品したが、あんなことはもうこりごりだった。
スミコは夫と相談し、仕方がない…ということになり、月に一度、普段の格好とは似てもにつかないような服を買いに出かけるのだ。
店員には「姉へのプレゼント」ということにして。
そして、月の最終日、普段着なれていない服を着ている自分を、近所の人に見られるのが恥ずかしいスミコは、服一式と普段ほとんど使わない化粧品一式を持って、家から遠い、公園のトイレと美容院を梯子するのだ。
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