4人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
実家
「はあ~」
今スミコは実家の門の前に立ち、中に入る心の準備をしている。
今日のスミコは、グレーのインナータートルに鮮やかなブルーのニット、白いパンツに膝下までのグレームートンブーツ、短目の黒のダウン、という姿だ。
もともと色白で美人、背も高く、スタイルがいいこともあるが、その姿は、普段のスミコからは想像できないほど、凛としていて、隙がなく、すれ違う誰もが振り返る程だ。
「よしっ❗」
ビ〰〰〰
「はい、どちら様でしょうか?」
「スミコです。お母様。」
「お入りなさい。」
門が自動で開き、中に入る。
きちんと剪定された庭の敷石を歩きながら、スミコが「もう、無駄に広いんだから…」
と一言言うと、
「聞こえてますよ、スミコさん、無駄にとは何ですか無駄にとは。この庭は、お爺ちゃまが現役の時に…」
品のいい着物を着たスミコの母親である凛子が出迎えに来ていた。
「ごめんなさい。ちょっと寝不足で気がたってただけなの。気にしないでください。」
スミコは、長い話がまた始まると思い、早々にあやまった。
最初のコメントを投稿しよう!