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中に入ると、早速お昼の用意をされたテーブルに案内され、スミコは父と母と3人で、両親好みの和食懐石をいただく。
毎回来る前は憂鬱だが、ここまで来ると、
「よく一人娘をひと月に一度こうして過ごすことだけを条件に嫁に出してくれた」と、母に感謝したり、最近のゴルフの調子について嬉しそうに話す父を不憫に思ったりもしていた。
こんな広い家で二人きり。さみしくないわけがない。
毎回帰る頃には
ひと月に一度くらい……親孝行と思えば、多少の口うるさいのは我慢しよう、と思えるようになっていた。
多少なら…💦
「ではまた来月に。」
スミコは少しさみしい気もしながら凛子に手を振った。
「次回はお着物でいらっしゃい。たまには和装姿も見たいわ」
「えっ⁉」
「なあに?気に入らないの?」
前言撤回、
はあ~
スミコはようやく実家の門をぬけ、外の空気を思いっきり吸い込んだ。
さあ、帰ろう。
公園で元の服に着替えて、お化粧も落としたい…
スミコが公園に向かって歩き出したその時、
何台ものパトカーと救急車のけたたましいサイレン音がなった。
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