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 -*-*-*- 数日後、真昼だというのに篤宮の置屋『森屋』に一組の男女が訪ねてきた。 「誰か居るかい?」 端整な顔立ちをしていながらも何だか軽い印象を受ける男性。 彼が声をかけると、置屋の中からまた別の男性が顔を出す。 「おや、慶喜(ケイキ)はん。  ……珍しおすなぁ、お連れはんが居てはるやなんて」 置屋から出て来た男性はそう言って、手にしていた扇子を閉じたまま口元にやり優雅に笑った。 その笑みには、どこかからかいの色も見てとれる。 慶喜と呼ばれた男性──一橋(ヒトツバシ)慶喜は、それに気付いたのか苦笑した。 「そう虐めないでおくれ、蘭丸。  そんなことより、彼女のことなんだがね」 「っ……あのっ、私、千歳(チトセ)っていいます」 ふっと笑みを柔らかくした慶喜が共に連れていた少女を示すと、少女・千歳は慌てた様子でぺこりと頭を下げる。 そんな千歳を見て、男性──篤宮蘭丸は、すっと目を細めた。 「挨拶に来た……わけではあらへんようやなぁ」 「相変わらず察しが良いね」 言った慶喜は、満足げに笑っていて。
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