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それから頷いた。
「彼女、最近辻斬りで身内を失ったらしくてね。行き場が無いらしいんだ。
島原で生活することに、彼女自身の了承は得てるから……あとは、お前が『うん』と言ってくれたら嬉しいんだけど」
「…………」
にっこりと笑って言った慶喜の言葉に、蘭丸はまた目を細める。
何という強引な。
少しの間じっと慶喜を見つめて、
ふっと蘭丸は息をついた。
「そうどすな。
他でも無い慶喜はんの頼みやし、引き受けまひょ」
「さすが蘭丸。そう言ってくれると思ってたよ」
「あんな言い方しといて、何を白々しい。
まあかいらしい子やさかい、すぐに安定した客もつきはるやろ。
最初は檜扇にでも付いて、新造の仕事をこなしてくれはったらええよって」
受け入れると言った蘭丸の言葉に返された慶喜の笑顔は無邪気で、楽しげでもあって。
そんな笑顔に、蘭丸はもう一つ、深い溜め息をついた。
二人の様子を見ながら、当の千歳はぎこちない様子ではいと頷く。
それから少し考えた様子を見せ、
「…………。
……えっ、か……可愛い?」
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