サヨナラの始まり

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卒業式の日の空は雲が低くて、グレーな景色が広がっていた。 あたしの家から中学までは直線で徒歩10分。都市計画で切り開かれた山を丸ごと団地にしたとてつもない巨大団地。山の中腹にあたる場所に小学校があり、頂上に中学がある。あたしと圭の家は3軒隣で山の比較的中腹あたりにある。 当然小学校や中学校はほとんどがこの団地の住人だ。 高校は団地の近くにあったのに、何年か前に生徒数の減少により廃校になった。団地には最盛期で万単位の世帯があったが、バブル後から少しずつ団地を離れて行く人が目立ち始めた。最盛期にこの団地に家を建てたうちの家はまだまだローンが残ってるから、この団地を離れるなんてまず無いだろう。たぶん圭の家も。 4月からはあたしも圭も隣の市にある公立高校へ行く事になってる。告白が成功したら、一緒に登下校してバラ色の日々♪振られたら…地獄だろうな。 圭には強がりばっか言ってきたから、あたしのことなんか女の子として見れないって言われるかも知れない…てゆーか言われるなぁ。 だけど、あたしは自分の気持ちをとにかく知って欲しい!それにみんなが気付く前からあたしは圭の良さをわかってたんだから、指を加えて他の子に取られる訳には行かないの。
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