ありったけの賛辞

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 真っ白な部屋だった。  そこに在る有機物は僕と彼女だけで、消毒液のつんとくる刺激臭だけが空間に充ち満ちていた。 「何もないけどくつろいでってね」  彼女は黒髪を弄りながらはにかんだ。僕は彼女に促されるまま、白い床に胡坐を掻いて座り込んだ。  これから始めるのは僕と彼女のとっておきの話。  誰にも語られなかった、とある舞台裏の話だ
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