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「馬鹿なことを言ってないでさっさとやれ月宮!」
「筆下ろしをですか?」
「精霊魔術だよ! 精霊魔術!」
嶋崎先生が頬を真っ赤にし、怒鳴ってきた。
本当に初心(うぶ)だなこの人。可愛く見えて来るよ。
「冗談ですよ、冗談。
きちんとやりますから」
「当たり前だ!」
これ以上怒らせる前にさっさとやってしまおう。
魔力を集束させ、虚空に六旁星の魔方陣を展開。相棒であるツクヨミを呼び寄せる。
「ツクヨミ来てくれ」
そう唱えると、魔方陣が黄金に輝きだした。
そして猫のシルエットが現れ、急速に光を失っていく。
現れたのは白猫に姿を変化させているツクヨミだった。
「何の用ですか?
私はお昼寝の最中だったんですよ?」
「……悪かったよ。てか、昨日の夜に呼び出すって言ったよな」
「そういえば、そうでしたね。
それで私は何をすればいいんですか?」
「何って……
何をすればいいんですか先生!」
精霊魔術にだって種類は色々とあるし。
「何でもいいわよ。
攻撃でも防御でも補助でも回復でも。一番得意な魔術を使いなさい」
じゃあまぁ、適当にーーは出来ないか。
嶋崎先生にまた説教されるのも嫌だし。
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