2.アテリア精霊学園

30/61
前へ
/427ページ
次へ
「馬鹿なことを言ってないでさっさとやれ月宮!」 「筆下ろしをですか?」 「精霊魔術だよ! 精霊魔術!」  嶋崎先生が頬を真っ赤にし、怒鳴ってきた。  本当に初心(うぶ)だなこの人。可愛く見えて来るよ。 「冗談ですよ、冗談。  きちんとやりますから」 「当たり前だ!」  これ以上怒らせる前にさっさとやってしまおう。  魔力を集束させ、虚空に六旁星の魔方陣を展開。相棒であるツクヨミを呼び寄せる。 「ツクヨミ来てくれ」  そう唱えると、魔方陣が黄金に輝きだした。  そして猫のシルエットが現れ、急速に光を失っていく。  現れたのは白猫に姿を変化させているツクヨミだった。 「何の用ですか?  私はお昼寝の最中だったんですよ?」 「……悪かったよ。てか、昨日の夜に呼び出すって言ったよな」 「そういえば、そうでしたね。  それで私は何をすればいいんですか?」 「何って……  何をすればいいんですか先生!」  精霊魔術にだって種類は色々とあるし。 「何でもいいわよ。  攻撃でも防御でも補助でも回復でも。一番得意な魔術を使いなさい」  じゃあまぁ、適当にーーは出来ないか。  嶋崎先生にまた説教されるのも嫌だし。
/427ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8351人が本棚に入れています
本棚に追加