2.アテリア精霊学園

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 刹那ーー  パッキャァァアン! と、氷の棺が崩壊した。 「私がこれくらいで死ぬわけないだろ!」 「聞いていたんですか」  やっぱり凄いなこの人。  指1本動かせない状況から、あんな豪快に巨大な氷を破砕したんだから。  精霊の力を使ったんだろうが、姿はおろか魔力すらほとんど感じなかった。  熟練者になればなるほど、魔力を隠すのが巧くなるのは本当なんだな。 「あんな近くで話していれば、嫌でも聞こえるんだよ。お前がセクハラ紛いの発言をしていたこともな」 「いやん。恥ずかしい」 「キモいです灯香。マジでキモいです」 「ガーン。ちょっとしたお茶目なのに」 「……ふぅ」 「溜め息だけ!?」  罵声の方がまだ精神的に楽だよ!  冷めた目付きで見ないでくれ!  穴があったら入りたい! 「無駄話はそこまでだ。  月宮、とりあえずお前は合格にしておいてやる」 「……ありがとうございます」  消え入るような声で答えた。  未だに羞恥がヤバイ。
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