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刹那ーー
パッキャァァアン! と、氷の棺が崩壊した。
「私がこれくらいで死ぬわけないだろ!」
「聞いていたんですか」
やっぱり凄いなこの人。
指1本動かせない状況から、あんな豪快に巨大な氷を破砕したんだから。
精霊の力を使ったんだろうが、姿はおろか魔力すらほとんど感じなかった。
熟練者になればなるほど、魔力を隠すのが巧くなるのは本当なんだな。
「あんな近くで話していれば、嫌でも聞こえるんだよ。お前がセクハラ紛いの発言をしていたこともな」
「いやん。恥ずかしい」
「キモいです灯香。マジでキモいです」
「ガーン。ちょっとしたお茶目なのに」
「……ふぅ」
「溜め息だけ!?」
罵声の方がまだ精神的に楽だよ!
冷めた目付きで見ないでくれ!
穴があったら入りたい!
「無駄話はそこまでだ。
月宮、とりあえずお前は合格にしておいてやる」
「……ありがとうございます」
消え入るような声で答えた。
未だに羞恥がヤバイ。
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