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「まぁ、いいです。
標的はあの人です。行けますか?」
「俺!?」
何故か俺を指差してきた。
ボケだよな? そうだよな?
「ああ、間違えました。あれはまた今度です。
あの人でした」
次はきちんと嶋崎先生を指差した。
そういえばリアは、俺のことをぼこぼこにしたくて仕方ないんだっけか?
さてどうやって対処するか考えないと。
「……ふむ。あれは厄介な精霊ですね」
「精霊……ですか?」
「はい。
リア殿が気付かれないのも無理はありません。むしろあれに気付けるのは“支配者”クラス以上の精霊だけでしょうね。
人間では目視どころか気配にすら気付けません。精霊の力を借りれば別ですけど」
「つまりあなたには見えているんですね」
「集中すればですが。
気を抜いた時点で私でも気配すら解らなくなります」
そういう精霊もいるんだ。
てことは先生は最初から精霊を召喚していたのか。
じゃああの新堂が攻撃したときに見えた魔方陣は、先生の精霊が発動させた魔術ってことだな。
「ほう。気付いたか。
なかなかの高ランク精霊と契約しているようだな」
「ツクヨミは気付いていたか?」
そっと囁くように尋ねてみた。
「一応は気付いてましたよ。
ただこの姿のままでしたから、気配に気付くのがやっとでしたけど」
「へぇ……」
猫に擬態しているとはいえ、ツクヨミですら姿を認識出来ないなんて。
本当に厄介だな。
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