4.怪盗

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「そんなわけだから、頼むわよ」 「いやいやいや!  何でそんな理由で犯罪の手助けなんかしなきゃならないんだよ!  美少女の頼みでも前科持ちになるのは、絶対やだ!」 「……なんだ、そんなこと心配してたの? 大丈夫よ、今回は犯罪にならないから」 「は?」  物を盗むのが犯罪じゃないって、どういうことだ? 「詳しくは言えないけど、今回の依頼は魔術省から来たものだから」 「はあ!? 魔術省!?  吐くなら、もっと巧い嘘を頑張って考えろよ」  魔術省とは国の組織。  国土交通省やら防衛省と同じ機関であり、全員が精霊士である。  かなりのお偉いさんが集ってる場所だぞ。 「本当よ。  もし警察に捕まっても国が圧力をかけて、すぐに釈放されるから大丈夫。そういう契約にしたから。前科もつかない。  もちろん魔術省に顔割れはしてないわ」 「……何か証拠があるなら信じてやるよ。それに手伝ってもやる」 「本当ね?」 「男に二言はない」  大丈夫。  どうせ証拠なんてないし、嘘だろうから。
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