4.怪盗

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「きゃあ!」  可愛らしいソプラノ声の悲鳴が脳に響く。  なんだ? どうなったんだ?  右手がふにょふにょと柔らかい物に触れている。  とりあえず何か触り心地がいいので、右手を色々動かしてみた。 「あ、や。ちょっと……」  ん? 「ほら。やはり私の言う通りになりました」  んえ?  身体中の熱がサーッと引いていく。  これはヤバイ。  や、やっと気付いたんだが、俺の揉んでる物ってセリのおっぱい…… 「ち、違うんだセリ! 落ち着いて聞いてくれ!  今のは事故で決してわざとじゃないんだ! 俺は無理矢理やったりしない!」 「なら、ん……さっさとその右手を私から……あう……離しなさいよ!  くすぐったいでしょ!」 「わ、わりい!  お手頃サイズでつい……」  怒りが頂点に達してないうちにバッと手を離し、アスファルトの上に移動させた。  あ、やっぱり女の子の身体って柔らかいんだな。地面と比べると雲泥の差だ。 「全然嬉しくないわよ!  早くどきなさい!」 「わ、わかってる」  そのまま腕に力を入れて立ち上がる。  ふぅ。今のは偶然とはいえ、美味しかったな。 「ほら」  ペタリと座り込んでいるセリへ手を伸ばす。  彼女は「ありがと」と、ボソッと呟いて俺の手を握って起立した。
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