4.怪盗

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 その後、魔術省に電話した結果。  本当であることが証明されてしまった。  俺の考えた質問も全て答えやがるし、警察に捕まってもすぐ釈放されるらしい。  泣きたくなってきた。 「もう充分証明したわよ。  私の胸も触ったんだから、死ぬ気で働いてもらうからね。報酬も分配するから」 「わかったよ。  てか、報酬なんてあるのかよ?」 「当たり前でしょ。  私達だってボランティアでやってるわけじゃないのよ。  今回は1人じゃきついからあんたに頼んでるの」 「ならセリにも頼んだ方がいいんじゃないか? 俺、素人だぞ」 「まぁ、それも考えたんだけどね。  先輩に迷惑をかけるわけにはいかないじゃない」 「いや! 俺も一応先輩なんだけど!」  確かに呼び捨てにされていて、尊敬の“そ”の字も感じないけどさ。  「センパーイ!」とかって、言いながら、駆け寄って来てくれてもいいじゃない! 「あんたは別にいいの。いつも辛酸を舐めさせられてるから。  鬱憤を晴らさせてもらうわ」 「完全に私情が入り乱れてるじゃないか!」  勝手に挑んできて負けてるだけだろ!  あ、でも最近は無いな。あきらめたのか?  いや。油断させようとしてるだけだろうな。期間を開けて。 「セリ、もしあれだったら、私も同行しましょうか?」 「え? あ、いや。悪いわよリア先輩。  汚れた仕事だから、それにリア先輩を巻き込むわけには……」  セリの奴。一瞬、目の光が消えたな。  やはり好きで“銀色の猫”と名のって、怪盗をやってる訳では無さそうだ。
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