4.怪盗

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「それで、依頼内容は?」  俺の部屋に入り、ソファーに座った。そして盗視、盗聴妨害の魔術をかけて本題に入った。 「アテリア精霊学園の理事長が研究している機密書類を盗み出すことよ」 「……  あ、俺用事がーー」 「ありませんね」  リアに言葉の続きを勝手に言われた。  てか、そんな危険ランク最上位に入る任務なんて聞いてねぇよ!  いや、まぁ。今話したんだから当たり前なんだけどさ。 「っ!  何でそんなの引き受けたんだよ!  見つかったら警察に捕まる以前にあの世行きだわ!」  ウサギがライオンの住みかに潜入するようなものだぞ。  女の子にはあまり怒鳴ったりしないんだが、これは別だ。  よくまぁ、こんな任務を高校生に依頼したな。魔術省さんよ。  正体がわかってないから、仕方ないのかもしれんけどな。やり方が汚い。  警察に圧力をかける気なんて、最初から無かったじゃねえか。 「しょ、しょうがないじゃない……  入院の費用だってバカにならないのよ。今まで断って来たけど、今回はやるしかなかったの!」  セリの悲痛な叫びが部屋に響き渡る。  入院費って銀色の猫のメンバーのか? それをセリが払っているのか?
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