4.怪盗

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「その人の名前はなんて言うんですか?」 「確か……  黒葉鈴乃(くろはすずの)だったな」 「ああ……  そういうことですか。今はここにいたんですね」 「知ってるのか?」 「ええ。以前ネットの暇人チャンネルで話題になってました」 「へえ」  一応頷いといたけど、嘘であって嘘じゃない感じだな。  暇人チャンネルで見たのは本当だろうけど、先の反応は知り合いのような反応だった。  ま、嘘の上級者である俺の主観だけどな。 「それで、その書類がどこにあるのかの目星はついているんですか?」 「ええ。  単純に理事長室に隠してあると考えられるわ。  あそこだけ生徒だけではなく、先生方も立ち入り禁止なの。それだけじゃなくて、特殊な結界が張られているしね」 「確かに。  あそこまで厳重にしておく理由が無いからな」  嫌だな。罠とかいっぱいありそうだよ。  部屋に入った瞬間に睡眠ガスとか、壁が迫ってくるとかやめてくれよ。 「ではほぼ確実にそこでしょうね。  決行日時や時間帯はどうするか決めてますか?」 「今日は潜入の基本や道具の使い方を覚えてもらって、明日の深夜から月曜の明け方にかけて作戦を開始しようと思ってるわ」 「ふむ。悪くはないですね。  それで行きましょう」  リアの奴。やる気凄いな。
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