4.怪盗

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 てなわけで、1日かけて基本的なことを教わることになった。  別に知りたくないけど、命には変えられないから仕方ない。 「まず潜入のための身体能力は、今さらどうしようもないから諦めるわ。  もちろん魔力での身体強化なんて絶対駄目よ」 「なんで?」 「理事長室の辺りには結界だけじゃなくて、魔力感知センサーがあるのよ。これでも下調べはして来たんだから。  他にも赤外線センサーや監視カメラがあるわ」 「それでしたら灯香を使うのがいいかもしれませんね」 「なんで俺!?」 「え? いなくなっても誰も困らないでしょう?」  そんな当たり前みたいな表情で言うな!  地味に傷付く。誰もいないってことは……流石に……ないよな? 「もしかして図星でやがりましたか?  それは悪いことをしました」 「ず、図星じゃねえよ! ちょっと考えてただけだよ」  勘が鋭すぎる。  変な汗が出ちまったよ。 「と、まぁ。冗談はさておき。  灯香の偽物を造る魔術で相手を引き付けておき、その間に理事長室に入り込むのがいいかもしれません」 「普通ならそれが一番安全ね。  とりあえず作戦については後で考えるとして、道具の使い方を学んでもらうわ」  するとセリが魔方陣を展開し、そこからあまり見たことのない物体が複数現れた。
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