4.怪盗

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「この聴診器みたいなものって、よく漫画やアニメでやってるあれですか?」 「ええ。ダイヤル式の金庫を開ける為に必要な道具よ。  魔力で開けられないようにする術式が施されてる場合もあるけど、まずはどうしても正確な番号が必要だから」 「ほんの少しだけ音が違うのを聞き分けるためだよな?」 「そうよ。  ちなみに暗証番号式なら、これを使えば素人でも簡単に開けられるわ」  黒い電卓のような機械を持ち上げた。  0~9までの数字を押すボタンと長方形の画面が付いている。  ただ電卓に比べると、倍以上にぶ厚い。 「これは中に小型のコンピューターが内蔵されていて、さっき月宮が言った音を聞き分けることを自動でやってくれるの。  ただダイヤル式には使えない。何でかわかる?」 「ダイヤルを回す音も拾っちゃうからですよね」 「リア先輩、正解」  詳しいな、リア。  俺はてっきりダイヤル式は古くて使えないけど、暗証番号式は新しいから使えると思ったわ。 「あとこの眼鏡みたいなものは、赤外線を視認できるようにするためのもの。  この靴はほんの数ミリだけど、常に空中に浮いていられるわ。こっちの手袋は魔力の溜まり場がわかるもの。  インカムは……説明しなくてもわかるわよね。  まずはダイヤル式の金庫の開け方を練習するわ」  セリは再び魔方陣を床に出現させると、典型的な金庫が現れた。
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