4.怪盗

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「じゃあ月宮からやってみる?」 「そうだな。  一発で開けてやるから、その勇姿をしっかり見とけ」  自信満々にいい放つ。俺は有言実行をするからな。  きっと惚れてくれるさ。  聴診器みたいな道具を身に付け、金庫と対峙する。  アニメとかで良くやってるように、音を拾う部分をドアにくっ付ける。  そしてゆっくりとダイヤルを回していきーー  …………  ……………… 「全然わかんねぇ!」  一周、二周、三周。何度試してもずぅーっと同じ音しか聞こえないんだけど!  本当にこんなんで違いを聞き分けられるのかよ! 「ふっ。これだからヘタレは」 「自信はあったようだけど、流石に一発目じゃ無理だったわね」  女の子達が嘲笑してくる。  こんなはずじゃ、こんなはずじゃ無かったのに!  美少女にキャーキャーされるプランだったのに!  泣きたくなってきた。 「私が灯香にお手本を見せてあげましょう。それを貸しやがれです」 「はい……」  力無く、聴診器みたいな道具をリアに手渡した。  誰か俺を慰めてくれよ。平井さんがいてくれればなぁ……  世界とはなんて無情なのだろう。  横ではリアが金庫と睨みあっていた。  いくら彼女でもこればかりはーー
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