4.怪盗

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「はい、開きましたよ」 「「え! 」」  セリの驚愕の声とハモる。  いやいや、いくら何でも早すぎでしょ! 30秒も経ってないわ!  しかし実際に金庫は開いている。  こんなの最初から番号を知っているか、セリ並みのプロじゃないと不可能だろ。 「え? いや……え?」  その怪盗が本業の少女も狼狽えていた。  この様子だと答えを教えたわけでは無さそうだ。 「……セリ、番号は何桁にしておいたんだ?」 「一応5桁なんだけど……」  てことは、5回ダイヤルを回して番号を合わせる必要がある。  平均6秒で発見していったのか? 「それにしても女の勘が冴え渡りましたね。自分でも驚きです」 「それでも凄いわリア先輩!  才能ありますよ!」  ……セリも理解しているだろうが、これは才能とかの問題じゃないだろ。  いくらビキナーズラックが発動しても、その範疇は軽く凌駕してる。  経験に裏打ちされた技術の結晶と表現すべきものだ。  ふむ。やはり普通の学生じゃないことは確かだな。美少女だから何の問題も無いけど! 「ありがとうございますセリ。  ほら、見ましたか灯香。運も実力の内なのですよ」 「くっ……!  もう一回やる!」  普通じゃないことに気付いてないフリをしながら、再び俺は金庫に挑戦した。
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