4.怪盗

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 ーー日曜日。  昨日は一通り道具の使い方などを学び、今日の夜中に学園へ忍び込むことになっている。  ちなみに俺は結局金庫を開けることができなかった。  あ、あんなの普通人の俺に出来るわけないだろ! しかも1日やそこらじゃな。  別に悔しい訳じゃない。本当だからな。  てか、リアの奴遅いな。  9時には俺の部屋に来るとか昨日言ってたよな。もう30分は過ぎてるんだが…… 「セリ、リアはどうしたんだ?」 「わからないわ。まだ寝てるのかもね。  ちょっと部屋を見てくるわ」 「じゃあ俺も一緒にーー」 「来なくていい。  また変なこと考えるでしょ、あんたは」  そう言い残してセリは退室していった。  なかなか酷いな。ただハーレムな妄想をするだけじゃないか。 「はぁ……」と溜め息を吐き、リアのために作っておいた朝食を電子レンジで温め直す。  それにしても今日の夜が不安でならない。確かに報酬額を聞いた時は目が飛び出たが、リスクを考えると……ねえ?  昨日は見つかったらすぐ殺されるとか思ったけど、死ぬより辛い実験の被験者になるかもしれないんだよな。鬱だ…… 「月宮、入るわよ」  そんなネガティブなことを思考していると、セリが戻ってきた。  随分と早かったな。 「リアは?」 「寝てたから起こしたわ。  たぶんもうすぐ来ると思うから」 「了解」  料理はチンし直したから、いつ来ても大丈夫だ。
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