4.怪盗

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「月宮」 「了解。ツクヨミ頼む」 「わかりました」  校舎の門の前で本物の俺らを不可視にし、偽物を造った。  ていうか、門が開いてるな。まるで一度捕まったら逃れられない蜘蛛の巣に誘い込まれているようだ。 「……で、どうする? 完全に罠っぽいぞ。  俺達が今日来るのを知ってるかのような対応だし」 「問題ないわ。  理事長室に近付かない限りは相手だって手を出して来ないでしょうし。  それよりも私達が侵入してくることを認知していた方が気になるわね」 「灯香……  それはいくらなんでも」 「俺じゃねぇよ!  何のメリットも無いだろ!」  変なことを言うんじゃないよリア。  まだ死にたくないのにやるわけないだろ。 「バレてしまったのは仕方ないわ。  けんかしてないでさっさと行くわよ」 「わかってるよ」  仮面を付けているリアとセリを敷地内に入れ、俺達も続く。  何か学園の空気が重いな。嫌な雰囲気だ。 「……リア先輩、月宮」 「ええ」 「見張られてるな。  だが視線は偽物に向いてるから、まだ大丈夫だ」 「そうね。作戦は第一プランのままで行くわよ」 「了解」  作戦は状況に合わせていくつか練ってある。  余程のことにならない限り対処できるだろう。
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