4.怪盗

25/39
前へ
/427ページ
次へ
『わかった』  監視されている中、緊張を弛緩させずに理事長室を目指す。  すると第五校舎へ繋がる廊下に、1人の人物が立っていた。 「ここから先は特別警戒区域です。  ご用の無い方は遠慮願います」  黒スーツを纏った男性に警告された。  まるで見せつけるかのように帯銃しており、その中身は実弾だろう。  理事長の護衛は違うね。  ここはもうプロの怪盗に任せるしか無さそうだ。 「すみません。  私達、理事長に用事があるんです」 「用事?」 「はい。きちんとアポはとってあります。  極秘事項ですので深夜に訪ねたのと仮面の無礼は許して下さい」 「ちょっと待て。確認する」  スーツの男性がケータイを取り出し、電話しようと後ろを向いた瞬間ーー  本物のセリが手刀を叩き込む。  男性は崩れるように倒れ、完全に気を失っていた。  随分と荒っぽいーー 「理事長室まで走るわよ!」 「待て! 侵入者ども!」  今まで見張っていたであろう奴等が、拳銃や光線銃を構えながら迫ってきた。 「灯香! リア先輩!  プランB!」 「わかりました!」  俺はリアとセリに対してコクリと頷いた。  すると魔法陣が出現したため、一瞬でそれらを隠蔽する。  中からは小さな精霊アルカナと女騎士ワルキューレが召喚された。  もちろん相手には見えていない。
/427ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8351人が本棚に入れています
本棚に追加