4.怪盗

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『50メートルも離れれば偽物は消える。  とりあえずいきなり人が消えれば大多数は混乱するだろうが、1人くらい気付く奴は現れるぞ』  念話で語りかける。  流石にいくつも魔術を発動させているので、一方通行になってしまっまっているけどな。  当然だが、リアとセリは首を縦に振るだけ。  警備の人数があれだけなはず無いからな。ここで声を出して見つかったら、人生終了のお知らせが来るだろうし。  そして3階に上がった時点で偽物とのリンクが切れた。  充分仕事してくれたし、時間は稼げただろう。 『造った偽物は消えた。  ここからは念話ができるから』 『了解』 『わかりました』  そして4階へ繋がる階段を登ろうとしたが、 『うお!』 『ひっ!』  暗闇に佇む人影があり、一瞬幽霊かと思ってしまった。  セリも驚いて可愛い悲鳴をあげて、俺の腕に引っ付いてきた。  うむ。いいね。  柔らかいし、いい匂いがするしで満足だ。 『セリさん、普通に警備の人ですから大丈夫ですよ』 『え? そうなのーー』  ここで俺に抱き付いていることに気づいたらしく、声が途切れた。  暗くてわからないが、たぶん顔は真っ赤だろうな。
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