1.精霊使い

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 ーー 「あ、気絶しやがりましたよ灯香が」 「ちょっとやり過ぎじゃないかしら?」 「別にこれくらい平気ですよ。セリさんはこいつのことが心配なんですね」 「そ、そんなわけないでしょ!  こんなヘタレ変態なんてどうでもいい!」 「そうなんですか?」 「そうよ!  ……さっきから思ってたんだけど、リア先輩もタメ口で話してくれないですか? やりにくくて……」 「拒否します。  私は元々この喋り方なんで今更変えられません。  ですが、そうですね。これからはセリと呼びましょうか」 「う、うん。お願い」 「それにしても悪趣味な光景ですね。  式神と解っていても吐き気がします」 「確かに……」  リアとセリは口を押さえながら辺りを見やる。  そこにはまるで内部破裂でもしたかの如く、人間の四肢がバラバラに吹き飛んでいた。  真っ赤な血が薔薇のように咲き誇り、花火のように臓物やら骨が散らばっている。  しかしこれは仮面の女が置いていった土産。式神で作ったであろう紛い物だ。  意図は不明だが、悪趣味なことこのうえない。 「これ焼いてもらえますかセリ?  R-18の惨状は見ていて気持ちいいものではありません」 「確かにね。  アルカナ、お願い」  小さな精霊は了承し、辺りの式神を全て焼く。  するとわずか数秒で元の綺麗な屋上に戻った。
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