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カガリはマーナの声が聞こえなくなる距離まで必死に走った。
『姫』という呼び名を聞きたくなかったのだ。
実際、彼女はそれに反抗するように男のような言葉遣いで話している。
カガリの中で『姫』はとても弱い存在として認識されている。
誰もが一度は読むであろう童話に出る『姫』は大抵さらわれたりしているのを助けられたり、守られたりする存在だ。
それ故に『姫』と呼ばれる自身が情けなく、弱く思えるのである。
私はそんなに弱くは無いはずだ……!
それがカガリの心情であった。
そんな考え事をしているうちに彼女の足は無意識のうちにある場所へと向かう。
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