カガリ・ユラ・アスハ

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『モルゲンレーテ』 オーブを代表する軍事企業である。 カガリは暇さえあればここに顔を出し、MSのシミュレーションや戦闘訓練に明け暮れていた。 もちろん、侍女達に見付かりでもすれば即中断なのだが――。 今日は前述したようなストレス解消ともいえる理由でカガリはここに来てしまった。 そんな彼女に気が付き、作業をしていた女性がその手を止め話し掛けてきた。 「あら、もうすぐで式典の時間じゃなかったかしら?」 三十路くらいと思われる女性がカガリに近付く。 女性――エリカ・シモンズはムスッとして黙り込みそっぽを向くカガリを見てやれやれと呆れたような表情を浮かべる。 「また例の件?それは仕方ないっていつも言ってるじゃない」 「でも……!」 「分かってるわ。少なくともここにいる人達は、ね!アサギ、ジュリ、マユラ!!」 エリカが唐突に整備でMSに取り付いていた3人の少女に呼び掛ける。 3人は急に声をかけられて驚いているようだった。 「何だよ、お前らいたのかよ」 「なっ!失礼な……!」 「私達はずっといたわよ!カガリ様が気付かないだけでしょ!?」 カガリがしれっと言うとアサギとマユラが言い返す。 年頃の少女特有の姦しい空気が場を包む。 普段は父の施政の仕事を見ていたり、侍女達に追い回されて淑女としてのマナーを躾られたりしているカガリには普段経験することの無いこの雰囲気が数少ない癒しの一つになっていた。 .
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