奥様はスペシャルAカップ

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田宮家の朝は騒々しい。 「ジン! いつもよりオハヨウ☆のキスが短かったっ!!! もう俺に飽きてきたんだろ!?」 朝一番に、憤然とリビングで叫ぶ夫…。 その横には、その夫を女手一つで育て上げた夫の母、イクコが悠然と朝食後のお茶を飲んでいる。 ケンタの養子に入ったジンにとって、イクコは法的には祖母に当たる。 しかし、事実上の姑であるイクコを前に、恥ずかしげもなく恥ずかしい事を言ってくる夫に、ジンは途端に真っ赤に照れて怒りだす。 「朝っぱらからナニ恥ずかしいこと言ってんのよっ!!! ほら…。ケンタ…。 ご飯粒落ちてるから…」 イクコを前に照れまくりながら、夫のケンタがこぼしたご飯粒を拾ってやるジン。 そんな愛妻(男)に然り気無く世話を焼かれ、ケンタのご機嫌指数は、一転して急上昇。 「あぁ…。 ジン…。ありがとう! 愛してるよ☆」 お菓子をもらった子供のように、途端に嬉しそうに笑顔をキラキラさせるケンタ。 すると、イクコがお茶を飲み終えてサラリと言った。 「ケンちゃんは、ジンちゃんのどこが好きなの?」 すると、ケンタが待ってましたとばかりに朝から元気にノロケ始める。 「顔!からだ!性格☆ あと、いつでも仕事に前向きで、人を大切にするところ♪」 そんな風に、なんかどっかズレてるのに、迷いもなく元気に言いきる息子に、笑顔を浮かべながらイクコが返す。 「──つまり、全部…ってことね?」 「母さんは、ジンのどこが好き?」 ルンルンと実の母に嫁(男)の自慢合戦を朝っぱらからおっ始めようとする夫。 そんな息子に慌てず騒がず堂々とイクコが「そうねぇ…」と答えようとするから、ジンは恥ずかしさのあまり真っ赤から真っ青になる。 「やっ…やめて下さいっ!!! お母さんっ!!!」 奥手で照れ屋で素直じゃないジンの弱点は、褒め殺し…。 子供の頃、母親に虐待されたり、学校で「オカマ菌」とイジメられてきたジンは自分に自信がなかなか持てない。 ちょっと普通では考えられないような過酷な人生を乗り越えてきたジンは、基本何を言われてもへこたれない鋼鉄のようなたくましい根性を持っている。 しかし、この新しく家族になった二人にデロデロに褒められる事だけには、どうにも敵わなかった。
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