prince-sと呼ばれて

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「キャッ。ヒロさん大丈夫?」 新しいおしぼりを渡そうとする千春に、むせながら 「に、匂い?」 声を搾り出し聞いた。 カウンターをダスターで拭きながら千春は 「ウーン。フェロモンかな?多分、男の人は興奮するんじゃないかな?でもね、私は鼻についてハグが限界だったわ。」 「チャレンジしたの?」 思わず、声が裏返りかけた。 「いや。あまりにも真剣だからさ。それに別に減らないし。」 千春は可愛らしく笑いながら、また小首を傾げて見せる。 減らないって。そんな話か? 千春は話を続ける。 「まぁ。一人目で懲りたから。後の人達は丁重に、お断りしたんだけど。そのフェロモン?巻き散らかされてるとさ、何て言うか。バランスが崩れて来るのよ。私の中の。」 入れ直して渡された、ビールグラスに手をかけながら、聞き返した。 「バランス?」
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