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「ヒーローシ。楽しんでる?」
背中から首に腕を絡めるようにママが、抱きついてきた。
そして耳許で
「ね?千春。
当たりじゃない?」
と、囁く。
千春は軽く目配せをすると
ママが居たボックス席へ移動していった。
「なんか。面白い子でしょ?」
余程、気に入ってるんだろう
ママは得意気な顔で俺の顔を覗きこんだ。
「まあな。」
呟く俺の返事に満足したのか
ママは一層、得意げに頷くと。
「ヒロシ。オイタしちゃダメだからね!」
と、悪戯っぽく笑う。
それは約束できねーな。
声に出さずに、口のなかで
独り言を言う俺。
うん。
なんか面白いかもしれない。
ボックス席の千春と目が合うと
千春は唇を少しだけ上げて
笑ってみせた。
オイタしちゃうかどうかは、別にして。
仕方ない。
また会いに来てやるか。
プリンスと呼ばれ、女に迫られた女。
当分、退屈はしないような予感に。
ワクワクしながら、飲みかけのバーボンを煽った。
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