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目を閉じるとすぐに睡魔がやってきて、ゆっくりと闇に落ちていった。
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何時間経ったか分からない。
俺は物音で目が覚めた。
まだ電気がついていて眩しくて目を細めた。
「けい…」
名前を呼ばれてはぁ…と溜め息をついた。
なんだ?
声を出そうとしたとき、電気が消えて闇に包まれた。
なにも見えないなか、足音だけがやけにはっきりと耳に届く。
足音が真横に来たとき、俺は風太くんの腕を掴み布団の中に引きずり込んだ。
「うわっ!な、に」
「呼んだ?」
「起きてたのか!?」
「さっきな」
抱き枕を抱き締めるように風太くんを抱き寄せる。
ふんわりとシャンプーの香りが匂った。
「ビックリしただろ?俺、バイだから男もいけんだ」
「だからあの本も…キスも…」
「引いた?俺は軽蔑されてもどうも思わないから。嫌だったら俺を退かして変態だって言って逃げていいから」
指を柔らかい髪に絡ませてわざと額にキスをした。
風太くんの反応を見るためだ。
しかし風太くんはビクッと肩を震わせただけで抵抗をしない。
「………あの、さ」
か細く呟く。
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