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「久志、もう帰んの?」
「うん」
「彼女は?」
「あー、こないだ別れた」
「……お前、またかよ」
別にどうでもいいだろ。
何でお前が溜め息つくかなあ。
元々、一週間で好きになれなかったら振ってくれてもいい、って条件付き。
食い下がられて仕方なく付き合ってたんだ。
「何か問題ある?」
「うわ、酷ぉ」
酷いとか言われても知らない。
しかも別れる時泣かれたし、自分で言ったくせに泣くとかまじ意味わかんねぇ……面倒くさい。
一週間で好きになれなかったから、その約束通り別れを告げた。
つーか、一週間で好きになれる訳ないだろ。
女って馬鹿だ。
何でそうまでして付き合いたいと思うのかわからないし、理解したくもない。
「お前ってほんと薄情だよな」
「……別に」
じゃあ、どうしても好きになれない相手のそばに無理してずっといろって言うのかよ。
違うだろ?
俺は間違ってない。
鞄を肩に掛けて立ち上がった。
教科書は全部置き勉してるし、荷物らしい荷物も入ってないそれはやけに軽い。
「ちょ、待てって久志」
さっさと教室を出ようとすると、後ろから焦り気味の声が投げ掛けられた。
──別に特別早く歩いている訳でもないのに、いつも早い早いと文句を付けられる。
むしろこいつが鈍臭いだけだと思うんだが、どうだろう。
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