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「…怒らないんですか?」
「いや、ぎゃくにどう怒れと?」
何時か死ぬのは当たり前であり運命。
それに怒ったところで過去の事実は改変出来ない。
そして命を管理するのは神様の仕事だ。神でもない天使や人間にそれを任せて生じた損害の責任は神様にある。
だから俺がミカさんを罰する権利もミカさんが俺に謝る権利もないのだ。
ゆとり?
確かに肯だ。
でもミカさんみたいなタイプはこう言うことでも言わないと何時か全部抱え込んで壊れてしまう。
「ミ、ミカさん!?」
不意に俺の胸にミカさんが飛び込んできた。
「すいません…少しだけ…少しだけでいいので胸を貸して下さい…」
顔はみえないけど声が震えている。
多分同じことが過去に何度かあってその時からずっと抱え込んできたんだろう。
いきなり死んだと言われて怒り狂う奴もいただろう。
いや、むしろ俺みたいなタイプが居なかったのかもしれない。
「自分のでいいなら幾らでもどうぞ。」
それから暫くの間ミカさんは俺の胸で泣き続けていた。
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