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ふと目を開けて横を見るとまだキミは居て
憂いを帯びたその瞳に吸い込まれそうになった
「…秋の夜っていいと思いません?」
そう言って此方を向いて微笑んだキミに俺は一瞬で恋に堕ちた
「うん…今日ここに来て良かった」
現実から遠退くコトが出来たし何よりキミに出会えた
「私…いつもこの時間此処にいますから」
それは遠回しにまた会おうと言ってるの?
期待してしまってもいいの?
「また来るよ…キミが来ない日もずっと」
どちらからともなく立ち上がり俺はキミに近付く
キミはジッと俺を観察するように見てる
闇に光る瞳が綺麗だと思った
「また会おうね」
そう言ってキミの額にキスをした
これは友情の意なんだって確か誰かが言っていた
「また」
キミはそう呟いてまたふわりと綺麗に笑うと立ち去った
そよそよと風に揺れる草が足に当たってくすぐったい
キミのいた痕跡が何一つ残っていない
まるで短い夢を見ていたみたい
でもこれが夢だと思いたくなくて俺はしばらくソコに立ち尽くしていた
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