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誰も居ない暗い裏路地。
そこに突如、出現した大きな影。ゴミを漁っていた野良犬が、その影に向かって一斉に吠える。
青い髪の少年を肩に担ぐ女は、それらに見向きもしない。
女は、無造作に置かれたゴミの山に少年を投げつけた。
「イッテー! いきなり、何すんだよ!?」
「任務に失敗した貴様は、その責任を負わねばならん」
女は、手にするハルバートの切っ先を弱々しくうな垂れる少年の喉仏に、ピタリと突き付ける。
「なんだよ、責任って? 助けに来たんじゃねえのかよ」
「ふざけるな!!」
その声は威厳見に溢れていた。
張り詰める緊張に野良犬達も一斉に吠えるのを止める。今から起きる出来事を見守るように彼
らは、遠目にそれを眺めた。
「ち、違うんだ。まさか、あの男があんな滅茶苦茶に強いなんて思ってもいなかったんだ」
少年は両手を前に突きつけて女を制しようとする。
だがその少年の言動は、女の怒りの焔に油を注ぐのに等しかった。
女は、ワナワナと空いている左手を震わせて叫ぶ。
「男だろ、言い訳するな!」
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