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「チッ、光学迷彩か、往生際の悪い奴め」
女は唇を噛み、右足の爪先で砕けたコンクリート片を蹴り上げる。
だが、血の匂いを感じ横目で右を見ると、一定間隔で大小様々な血痕が点々と続いている。
「我をこれ以上愚弄するでないぞ」
女は右を向いて、軽く助走を付けハルバードを槍投げの要領で投げた。
「ウウゥ…」
投げられたハルバードは、何もない空間で止まる。
小さな呻き声を耳にして、女はニヤリと笑う。
ハルバードは切っ先を地面と垂直に向けて、ゆっくり沈んだ。
同時に、背中にハルバードが刺さった状態の少年の姿も現れる。
女は動かない少年に歩み寄り、青い髪を鷲掴みにして持ち上げた。
「ク…ソ……ヤロウ……ガ」
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