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少年は吐血しながら女を睨むが、すぐに瞳を閉じて静かになった。
女は少年の首筋に手をやる。
「死んだか。さて、どこに捨てようか…… お前達、コイツを喰うか?」
女は、ジッと彼女を見つめる野良犬達に、近付きしゃがんで話し掛ける。
だが、犬達は首を振って再びゴミを漁り出した。
「そうか、邪魔してすまなかったな」
女は犬に軽く頭を下げて、踵を返しその場から去った。
ちょうど、朝日がビルの間から差し込んで来ていた。
突如彼女の耳に、取り付けたハンズフリーの通信機の着信音が鳴る。
相手は決まっている。
「№0、なんの用だ?」
『まさか、もうタツキを殺しちゃった?』
「貴様に言われるまでもない。すでに斬り捨てた。それで、なんの用だ? 用がないなら切るぞ」
女は、通信機に手を伸ばして切ろうとする。
『№1、切るのはまだ早いよ。帰投命令だ。計画を始動する』
№1は、それ聞いて急に表情が晴れやかになる。若干、口角が上がった。
「そうか! なら我もすぐに帰投しよう」
すぐに通信を切って、彼女はその場から姿を消す。
後には、血塗れの少年の亡骸だけが残っていた。
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