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途端に視界が闇に染まる。
だが、アツシはしっかり闇を捉えている。彼は声の主を探した。
この時、アツシの瞳は透き通るような青から深紅に染まっていた。
アツシは、独房の奥で体育座りをしている少女と目が合った。
「あなたは、誰ぇ?」
「俺っちは『Aー002』本名『アツシ』だ」
アツシは、腕を組んで壁に寄りかかって答える。
「私は『SSー004』。名前は『カレン』。話は、聞いたよぉ。でもねぇ……」
声が途切れる。
アツシは殺気を感じて身構える。
刹那、黒髪の少女が彼に襲い掛かってきた。
長く鋭い爪が、アツシの喉元を切り裂かんと迫る。
だが、アツシは半歩踏み込んで少女の手首を右手でガッチリ掴み、思いっきり少女を引き寄せた。
「本当なら君は既に死んでるよ」
そう言う彼の左手には太刀が握られていた。
その刃先は、ピタリとカレンの首を捉えていた。
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