地ハ足音ヲ立テズ二進撃ス

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白いカーテンの隙間から朝日が部屋に差し込み、まだ真新しいベッドで気持ち良さそうに寝ている男の顔に当たる。 さらに、タイミング良く鳴り響いた目覚まし時計が男の睡眠を妨害する。その証拠に男の表情が微妙に歪んだ。 「……ウルセェな」 男は腕を伸ばして、耳元でけたたましく騒ぐ目覚まし時計を掴んで遠くに投げつける。          ガシャンと言う嫌な音が彼の耳に入った途端に、鳴り止む目覚まし時計。 再び静寂を取り戻した男は、ダルそうにゆっくりと上半身だけを起こして、寝癖でボサボサになっている栗色の髪を掻いた。 男の名前は吉良雄一(きら ゆういち)歳は二十二。東京在住の大学生だ。 彼は、まだ開け切らない重い瞼を右手人差指で擦り、カーテンの隙間から差し込む朝日を睨みつける。 「なんでだよ、まだ朝だぞ」 午後から、研究室に行こうとしていたのだがどうやら、目覚ましの設定を変えるのを忘れていたらしい。 とりあえずケータイの電源を入れて、時間を確認する。 『2100/12/20 09:32』 「これは微妙な時間だな。ハァ、そろそろクリスマスか…イヤだな」
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