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クリスマスが近いからか、数少ない雄一の友達は皆、彼女とののろけ話をわざわざ写真付きでブログでアップしている。
僻んではいない。ただ、自分が情けなくなるのだ。
雄一はゆっくりケータイを、寝巻のジャージのポケットの中に捻じ込む。
「ハァ、彼女欲しいなァ」
虚しさだけが残った。彼自身もう、かれこれ五年程恋人と呼べる人がいない。
高校時代にようやく出来た彼女も大学受験を控えて、自然消滅。
「ハァ…」
ふと、彼は心の隙間に入り込んできた邪念のせいで心がブルーになった。だが彼は、五分程考えてからやはり起きることにした。
彼は起きるなり、欠伸を右手で押さえて、左右スライド式の自動ドアから部屋を出る。
部屋を出ると、自分の身長の半分程度の白いロボットが、リビングから姿を現した。
『雄一様、今日ハ午後カラ外出ナノデハ?』
「まさかの目覚ましの設定ミスだよ」
彼は自虐的な笑みを浮かべ、ロボットに答える。
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