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「ん、うがっ! は、挟まった!」
何が起こったかはよく分からないが、リクがいきなり焦ったような声を出して、じたばたと暴れ出した。
少女は何事かと思い、自分の下で、少年が下敷きになっているのに気付き、急いで避けようとした。
だが、少女の顔はなぜかみるみる青ざめていく。
少女の特徴の一つとして、胸が比較的大きい。その谷間に、リクの顔が挟まるような形になっていたのだ。
次の瞬間、少女は反射的に体が動いていた。
「何すんじゃヘンタイ!」
「アガッ!」
勢いよく立ち上がった少女は、足で思いっ切りリクを踏みつけた。
情けない声を出したリクは、一瞬何が起きたか分からないといった表情で、目をぱちくりさせていた。
しかし、目の前で眉間にしわを寄せながら、きつい目つきで睨みつけてくる少女を見れば、踏みつけてきたのが誰だったのかは安易に想像できた。
「な、何すんだテメー!」
元々気長な性格ではないリクは、少女に詰め寄り文句をつける。しかし、なんと身長が少女に負けているために、あまりに迫力がない。
リクが見上げ、少女が見下すといった形が数秒続く。
だが、その沈黙はすぐに破られた。沈黙を破ったのは、リクでも少女でもなかった。
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