prologue

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だが、敵はリクに違和感を感じた。敵の名はガデミア。幾多の戦場を経験してきた数少ない熟練した戦士だ。 ガデミアの特徴である巨大な盾は、魔方防御に長けた特殊な盾だ。上級魔法にも耐えられるほどの能力を備えている。 リクが繰り出す連続攻撃の一つ一つは、単純な斬激に過ぎない。魔法により、攻撃スピードと威力を上げていると考えるのが無難だ。 元々は対魔法防御のコンセプトで作られた盾なので、相手が魔法を使っている以上この盾には傷は付かないはずなのだ。 しかし、絶対防御を二つ名にするガデミアの鉄壁を誇る盾は、じわじわとダメージを受けていたのだ。これぐらいの攻撃ならば、傷一つ付けずに防ぎきることができるのに。 盾の装甲はみるみる剥がれていく。 「なぜだ……ッ」 それは、衝撃の光景だった。一流の熟練盾使いが自分の肩よりも小さい子供に押されていたのだ。ガデミアの表情は青ざめていく。 ガデミアは、コロシアムで無敗の、シャイナロ連邦チャンピオン。世界各国にも名前が響きわたっているほどの有名な魔法使いだった。このままリクに押し負けるような事があれば、プライドも面子も全て潰れてしまう。 ましてや、リクの攻撃は単純な物理攻撃。故に、そんな平凡な攻撃力を、ガデミア自慢の最強を誇る盾が防ぎきれないとあれば、立ち直ることができないほどの精神的ダメージを受けてしまうに違いない。 敗北のイメージが、ガデミアの脳にちらつく。それを強引に一掃するように、ガデミアは雄叫びをあげながら、盾を押し切った。
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