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それが有効だったのか、リクの斬激は止まってしまった。
この瞬間をガデミアはどれほど待ち望んでいたであろうか。
堅守を誇る防御態勢を緩め、左手に握ったのは鈍器の類に入るメイスという武器だった。
「もらった!」
チャンスと感じ盾を横に動かし、前方に入るはずのリクを探す。
ガデミアには、疲労で困憊しているリクを、メイスで瞬殺するイメージが出来上がっていた。
だが、想像の世界は現実に打ち負かされた。
そこにはリクの姿はなかった。
前、右、左、後。ガデミアは首を忙しそうに動かしてはいるが、リクはどこにもいない。
一つだけ、ガデミアが見落としている所がある。
ガデミアは地面に映る自分と、もう一人の影を見つける。
その影はだんだん大きくなっていく。
ガデミアは上を見上げた。
笑っているリクが、そこにいた。
リクは重力の力を借りて、猛スピードで落下してくる。手にはもちろん剣が握られていた。
「もらったああ!」
リクとガデミアの視線が交錯する。ガデミアは慌てて盾を構えて攻撃に備た。
リクの剣と、ガデミアの盾が激突した。
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