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放課後、僕は或る人物に毎日会っている。
窓から降りられる、学校の屋上と言えるかどうか怪しいそこで、いつも空を見ている彼女。
名前は知らない。
「今日も来たのね」
彼女は振り返りもせずに言った。
まぁ、確認なんてしなくても、この時間にここに来る奴なんて僕くらいなんだろう。
「今日こそ、毎日ここに来るわけ教えてよ」
ここで彼女を見つけてから、今日で丁度百日目。
「だからさ」
彼女は振り返った。
一緒に、長めの茶髪が風になびく。
「君こそ、毎日飽きもせずここに来る理由教えてよ」
一瞬躊躇った顔をしてしまった。
「……毎回言ってるだろ、教えてくれたら教えるって」
毎日毎日、百日間投げられ続けてきた言葉たち。
「はぁ。……だって、この場所にいるとさぁ」
でも、今日は違った。
「いつでも死ねるんだってわかるから、安心するじゃん」
口調とは裏腹の、笑顔とは真逆の返答だった。
「やめろよ、そんなこと言うの。僕みたいな君が好きな奴が悲しむじゃん」
「やっぱり、君はあたしのこと好きなんだ」
どこまでも強気な発言。
「じゃなきゃ毎日毎日飽きもせずこんなとここねぇだろ」
彼女は寄っかかっていた手すりから離れ、僕を見た。
「安心しなよ、あたし死ぬ気ないから」
そして、何かを投げられた。
「好きな人に毎日会いに来てもらってるのに、死ぬ奴がどこにいるのよ」
それは、彼女と同じペンダントだった。
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